ソフトウェア品質シンポジウム2014参加レポート⑤ 社内勉強会コミュニティとか
ソフトウェア品質シンポジウムで"継続的システムテストについての理解を深めるための開発とバグのメトリクスの分析"を経験発表をしました。
で、「何故、ウェブ系の会社からこのような発表が出て来たのか」不思議に思われた方達からそういった質問をいくつかもらいました。このエントリではその辺の話をちょっと書いてみます。
Fearless Changeを下支えする社内勉強会コミュニティ
組織に新しい文化や考え方を導入する、いわゆるFearless Changeを行おうとすると、導入のメリットをうまく説明出来なかったり、考え方の違う人達と摩擦が起きてしまったりといった問題が生じる事がしばしばあります。
そういう時、新しいアイデアについてブラッシュアップしたり、同じような問題意識を抱えているもの同士で課題を共有したりする社内勉強会コミュニティがあります。私が所属している会社には色々な勉強会がありますが、ここではTech TalkとGo! Go! Talkをご紹介。
Tech Talk
社外的には、佐藤さんや川口さんを中心に不定期で開催されているテックトークという勉強会が知られているかなと思います。
Satoryu's Diary(OpenShift支店)(2014-04-03)
Tech Talk という社内イベントをボチボチと続けている話 - kawaguti の日記 (id:wayaguchi)
Tech Talkでは特に流行の技術や、社内で問題意識の高いトピックについて社外の有識者をお招きして講演して頂く事が多いです。
Go! Go! Talk
私も、テックトークの女子力マックスな妹版としまして「Go! Go! Talk」という勉強会をゆる〜り主催しています。こちらでは、社内のちょっとした良い話、いろんな部署で行った改善の取り組みを集めています。例えば先月はアジャイルレトロスペクティブについての共有がありました。
チームで1番弱い子がアジャイルレトロスペクティブやってみたらの再演を聞いた #devlove #devKan - 未来のいつか/hyoshiokの日記
私のSQiPでの経験発表もこのGo! Go! Talkで3回共有しながら少しずつ、内容、発表をブラッシュアップしました。
余談ですが、、、この2年くらいホント社内の勉強会コミュニティに自分自身が育ててもらってるな、と感じるようになって。社内の勉強会コミュニティに恩返しする気持ち3割でこのGo! Go! Talkの企画とかしてます。
社外コミュニティ活動
下の記事にありますように、社外コミュニティ活動や発表をかなりやりやすい雰囲気もあります。OpenStackやChef,DockerなどのOSSのコミュニティ、DevLOVEやAgile, Scrumなどのコミュニティで活動したりしているエンジニアがたくさんいるのかなーと。
【特別鼎談Ⅰ】「積極的に外に出ることで自分が磨かれる」エンジニアはサバイブ力を身につけよ! (2/3):テクノロジーでビジネスを加速するための実践Webメディア EnterpriseZine (EZ)
社外で発表する事のメリットは数えきれないくらいあります。その中でも一番分かりやすいメリットは「インプットの情報の質が格段に上がる」事だと思います。
社外で発表すると、社外のエキスパートの方と知り合いになる機会があって、例えば、オススメの発表資料や本を直接教えて頂けたりします。数あるカンファレンス、ウェブ上に公開されているスライドや本の中から「これだ!!」というものを見つけるのは意外と大変ですよね。
私も下記に示すような「社内で活動しているだけではおそらく知る事が難しかった資料」(ほんの一部です)からヒントを得て業務の改善等を行っています。
- アジャイル開発における品質保証部門によるシステムテストのアプローチ
- 関係者に理解してもらえるアジャイル開発に向けて
- Ultimate Agile Stories
- メトリクス公団
- データ指向のソフトウェア品質マネジメント
- ちょっと明日のテストの話をしよう
- DevQUT !
- テストアーキテクチャ設計の質について議論しよう
- ソフトウェア信頼性モデル
- ソフトウェア品質知識体系ガイド
特にまだセミナーや研修として固まっていない柔らかい領域に片足を突っ込む場合、自分(達)の考え方等を発表等を通して公にすることで、社外のエキスパートの方達とのコミュニケーションが取りやすくなるのかなと感じます。
社内勉強会コミュニティを支えるもの
そんな社内外の勉強会が盛んな会社に所属しているのですが。では、その社内勉強会コミュニティを支えているものは何だろうか?
それはhyoshiokさんのFearless Changeです。hyoshiokさんがちょうどよい感じのブログ記事を2010年頃に書かれてますのでそちらをご紹介。
2010-02-11 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
コードを書いたらテストを書いて実行するという、あまりに単純な原理原則ですら実行するのは難しい。理屈で分かっていること、知っていることと出きることには雲泥の差があることをプロフェッショナルは理解している。新米にそれを伝えることがプロフェッショナルの仕事である。
ロートルはロートルとして伝えなければいけない原理原則がまだまだあるなあと思う。
しつこく出きるまで訓練する。トレーニングを重ねる。そーゆーことを一つ一つ積み重ね、一人一人がプロフェッショナルになるような環境を提供する。やるべきことはまだまだある。
2010-03-12 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
例えば、テストのないレガシーコードにテストを作ることによって、そのシステムの理解が深まったり、動作を記述することによって、変更の影響が即座にわかったりする。変更の影響がわかれば、大胆に実装を変更したりすることが容易にできるようになり、開発の俊敏性が高まる。それが安心であり、心の平静が保てる。
hyoshiokさんが何年かかけて作り上げて来ているハッカー文化や社内勉強会コミュニティそして、ソフトウェアテストの文化が根付いているなあと。
実際、hyoshiokさんががGo! Go! Talkに来て下さると、勉強会の雰囲気がピリッと締まったりとか、発表をブログで取り上げて頂いて発表者のモチベーションがさらに上がったりとか、色々な形でサポートして頂いております。
おわりに
先日のSQiPでの経験発表が
"SQiP Best Report Future Award 将来役に立つ可能性を秘めているもの(審査委員会で選定)
という賞を受賞した事を楽天テクノロジーカンファレンス2014の準備に追われている社内勉強会メンバーに報告しました。